中小企業が見るべき経営指標

まず何を見るべきか

財務分析には様々な観点があります。粗利率・生産性、ROE・自己資本比率などどれも重要ではありますが中小企業の経営において特に注目すべき指標は以下の2つです。

・現預金残高
・債務償還年数

適正な現預金残高とは

現預金の重要性は言わずもがなでしょう。決算が赤字でも純資産がマイナスになっても現預金があるならば会社は倒産しません。突発的な天災や疫病への備えとしてできる限り多めに現預金を確保したいです。

一般的には月商の3ヶ月ぶんを保有しておくべきといわれていますが業種や業態によって大きなばらつきがあります。現金商売で先払い、在庫がほぼないならば運転資金が少なくなり、そこまで多額の現金を保有しておく必要はありません。

一方で利益率が低く、一年の中で売上の変動が大きく、売上の回収が遅い場合には3ヶ月ぶんでは足りない可能性があります。企業によっては相当な現預金が必要となります。

債務償還年数について

債務償還年数は何年で借入金を返済できるか必要年数を示す指標です。債務償還年数が10年以内であれば健全な財務状況であると見なされます。
計算式は金融機関や財務分析ツールにより算式は微妙に異なります。

計算式1:
債務償還年数=(借入金-運転資金-現預金) /(経常利益+減価償却費)
    
金融機関でよく用いられる計算式は以下です。

計算式2:
債務償還年数=(借入金ー運転資金)/(経常利益+減価償却費ー法人税等)

EBITDA有利子負債倍率とは?

債務償還年数とよく似た指標に「EBITDA有利子負債倍率」があります。一般的には以下の計算式で算出します。

EBITDA有利子負債倍率=(借入金-現預金)/(営業利益+減価償却費)

EBITDAは税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益を指しますが「営業利益+減価償却費」が用いられることが多くあります。

分母が「経常利益」の場合には昔から保有していた土地や建物を売却することで数値が改善されますが、土地や建物を売却して黒字化させることが今回限りであれば実際の債務償還年数はもっと長くなります。

特別利益が無視できない金額である場合、そうした臨時の収支が反映されない「営業利益+減価償却費」を分母に用いたほうが経営の実態が反映された指標となります。