
AIがムービーや画像を生成し、それをクリエイターさえも活用する時代になりました。
デザイナーの職能はもともと、画家・木工作家・陶芸家・書道家など何かしらを創造する一分野の専門職に近いものでしたが、AIによって仕事内容が変化しています。
なぜなら、デザイナーを持たない一般企業でも、イラスト作成・ブログ更新・チラシ作成・ブランドコンセプト立案などの作業を社内完結しやすくなったからです。
画像・動画・Webページを作り、生成コンテンツを選別して並び替えるような編集仕事の経済的価値は減少していくと考えられます。
デザインの職能
よりよいデザインのために、以下のようなスキルが求められています。
・美的センス
・トレンドの理解
・造形力
・編集力
・文章力(キャッチコピーなど)
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・倫理的、道徳的な判断能力
・ブランディング、マーケティング知識
・商品やサービスのストーリーを作る力
・関係者と議論する教養、コミュニケーション力
短くまとめると次世代のデザイナーには、意匠・倫理・技術などを高度な見識と実践経験をもとに集約させる「横断的能力」が求められています。
「横断的能力」とは、異なる領域をつなぎ合わせる力のことです。
理想と才能の壁
何に着目するか・どのように編集するか・どんな表現をするか、どんな価値観を顧客に伝えるかといった一連に関わるデザインには膨大な知識や経験が求められることになります。
圧倒的な才能を持つ人は、深く広い見識を得て、先に説明した通りの次世代型デザイナーになれるでしょう。
そうでない人は、単なる器用貧乏に陥る危険性をはらんでいます。
補足:教育現場の課題
教育現場にいる教員は縦割りの領域において、深い知見をもったプロフェッショナルです。
それぞれの専門に特化しており、「横断的」「異分野の統合」の実践は未知数です。
どのように次世代のデザイナーを教育していくのでしょうか?
学部という区分の中で、更に細分化された単位を取得していく構造そのものが既に「横断的」ではないように感じられます。
結局のところ、「横断的能力」を身につけられるかどうかは、個人の資質次第でしょうか。